作風 -style-
陶禅一如

【ねじ立て 穴窯 自然釉】
陶工 本松陶秋による焼き物は、輪詰み技法の「ねじ立て」方式で形成される。紐状の「より土」をねじりながら重ね、「はがたな」と呼ばれる板切れ一枚を持ち、人間が器物の周囲を後退りで周りながら成形する。轆轤とは逆に、器物は周らず人間が周る。故に「人間ろくろ」とも呼ばれる。平安時代から続くと言うこの製法で作られた陶器は密度が高く、頑健で長持ちする。

【正統 真正 ど真ん中】
採算度外視して大量の薪を使い、高温の「穴窯」で10日以上かけて焼かれた作品には、燃えた薪の灰がたっぷりと掛かり、それが溶けてビードロ状に玉垂れし、無釉にもかかわらず神秘的な「自然釉」で彩られる。
人為的な釉薬をかけて着色するのでもなく、また自然釉に見せかけた「呼び釉」でもない。これこそが正統の自然釉陶である。

【炎の試練】
「炎は人を試す。舐められたら火傷をする。炎に立ち向かい、気迫で圧す」と語る本松陶秋。炎の吹き出す焚き口に立ち、和太鼓を叩くようなリズムで薪を入れて行く。大量の火の粉が舞っているが、不思議と火傷はしない。
妥協を許さない峻厳な作陶姿勢、炎をも圧する気迫、そして轟轟と燃え盛る炎によって生み出された作品は、その激しい工程とは対照的に、静謐で飾らず、秋の月のように玲瓏と明るく、観る者の心をも洗う。

【完璧ではなく全一】
東洋の霊性、古代から伝わる熟練の技、そして自然の神秘。それらが渾然一体となり生まれ落ちた作品たち。限りなく完璧に近いが、決してナーヴァスではなく、おおらかで鷹揚だ。ここに露われているのは森羅万象を包括する全一性、一如である。
